通貨 価格変動 理由
FXとは為替取引のことで、為替取引とはある国の通貨とある国の通貨の交換です。その交換比率である為替レートは毎秒変化しています。これはそれぞれの国の通貨の価格が日々変動しているためです。通貨の価格はなぜ変動するのでしょうか。その理由を「経済的な要因」「政治的な要因」「市場要因」の3つに分けて詳しく見ていきましょう。
経済的な要因
経済的な要因には、「金利」「景気」「貿易収支」の3点があります。この3点は、相互に影響しあいながら、「通貨の価格」を変動させています。
金利
銀行にお金を預ける際に、金利が高い銀行と金利が低い銀行ではどちらが魅力的でしょうか。銀行の金利は高ければ高いほど、預けたお金はたくさん増えます。そのため、お金を預けるなら、金利の高い銀行の方が魅力的です。これと同じことが為替でもいえます。
例えば、日本の金利が1パーセントで、アメリカの金利が5パーセントのとき、金利は高ければ高いほど、預けたお金はたくさん増えるため、アメリカにある銀行にお金を預けたくなるはずです。金利の高い国にお金を預ける人が多いため、この場合、アメリカの通貨であるドルの需要が高まり、ドルの価格は上がります。
このように、金利の差は通貨の価格に影響を与えるので、国の金利の変動はその国の通貨の価格の変動につながります。
景気
一般的に好景気な国では、個人・企業ともに収入が増える分、投資や消費に対して積極的になります。企業が新しい工場を建設したり、個人が新しい車を買ったりと投資や消費に対して積極的になると、お金が足らなくなり、借金が必要な場合がでてきます。
その結果、銀行でお金を借りる個人や企業が増えるため、銀行のお金への需要の高まりから、国の金利は上昇していきます。反対に不景気な国では、国の金利は下降していきます。
先ほどみたように、金利の変動は通貨の価格の変動につながるため、景気も間接的に通貨の価格に影響を与えます。
貿易収支
基本的に他国と貿易をする際には、お互いの国の通貨が異なるため、どちらかの通貨でやり取りをします。
モノを輸出するときは、相手国が自国のモノを買うので、基本的に相手国が自国の通貨を使ってモノを買います。反対に、モノを輸入するときには、自国が相手国のモノを買うので、基本的に自国が相手国の通貨を使って、モノを買います。
そのため、輸出が輸入よりも多いとき(輸出超過)は、取引に自国の通貨が使われることが多く、自国の通貨の需要が高まるので、自国の通貨の価格は上がります。
反対に、輸入が輸出よりも多いとき(輸入超過)は、取引に相手国の通貨が使われることが多く、相手国の通貨の需要が高まるので、自国の通貨の価格は相対的に下がります。
政治的な要因
政治的な要因には「金融政策」「財政政策」「政治情勢」の3点があります。通貨の価格には、その国の政治が大きく関わっています。
金融政策
金融政策は、金利に直接的に影響を与えるため、通貨の価格変動に大きく影響を与えます。政府は経済を活性化させるために金利を引き下げる政策を行ったり、反対に、経済を引き締めるために金利を引き上げる政策を行ったりします。
財政政策
政府が景気を良くするために行う、減税などの積極的な財政政策は、金利上昇に結び付き、結果としてその国の通貨は高くなる傾向にあります。
反対に、政府による増税などの財政政策は景気に悪影響を与え、金利低下に結び付き、結果としてその国の通貨は安くなる傾向にあります。
政治情勢
政治勢力が分散していたり、軍部が政治の実権を握っていたりして、長期的に安定した政権を望むことができない国のお金をもっているのは不安です。
同様に政権が交代したり、大きな政策の転換があったりと政治に混乱がみられる場合にも、その国のお金は敬遠される傾向があります。
例えば、2016年にイギリスのEUからの離脱が決定された際には、イギリスの通貨ポンドの価格が大幅に下がりました。
つまり、政治情勢が不安定な国の通貨は需要が弱く、安くなります。
市場要因
経済や政治だけではなく、為替や株の市場も、通貨の価格に大きな影響を与えます。市場要因には、「投機」と「株価」の2点があります。
投機
影響力をもつ投資家がお金を稼ごうとして行う投機的な行動が、通貨の価格に影響を及ぼすこともあります。
例えば、投資家がある通貨を大量に売り、その通貨の価格を大幅に下落させ、その後で、大量に買い戻すことで利益を得ようとする場合があります。
このとき、通貨の価格はこの投資家の動きに大きく左右されます。
株価
ある国の株価が全体として上昇しているということは、その国の株式に対して積極的な投資が行われています。このとき、株式の投資にはその国の通貨が用いられるため、通貨の需要が強まっており、通貨の価格は上がります。
反対に、ある国の株価が全体として下降しているときは、その国の通貨の需要が弱まっており、通貨の価格は下がります。
まとめ
以上、「経済的な要因」「政治的な要因」「市場要因」の3つに分けて、通貨の価格が変動する理由をみてきました。通貨の価格はとても多くの要因が複雑に絡まり合った結果、上がったり下がったりしていることが分かります。
そのため、通貨の価格変動の予想はとても難しいことであるように思われます。ただ、自分なりの判断基準や仮説をもって、通貨の価格の推移を予想していくのもFX取引の醍醐味と言えるでしょう。